永木三月のテイスティングログ: おいしいもの味覚鑑賞会 第20回「サロン・ド・ショコラを食べ尽くす!」

2015年3月12日木曜日

おいしいもの味覚鑑賞会 第20回「サロン・ド・ショコラを食べ尽くす!」


1/25(日)夜、シェアハウス「浅草橋ブレッドボード」にて、食べ比べをテーマにした会、おいしいもの味覚鑑賞会を開催しました。今回で20回目の開催になります。参加してくださった皆さま、どうもありがとうございました。会を主催している永木三月です。
今回のテーマは、1月21日〜25日にかけて開催された、世界的なチョコレートの祭典「サロン・ド・ショコラ」。参加者の方には、そちらで入手した貴重なショコラをそれぞれ参加費として持ってきていただきました。 選りすぐりの8種類(+1)のショコラのレビューを、会の模様と合わせてお届けします。





 〈目次〉 (★=格別美味、◯=次点。)

1.イギリス『ウィリーズカカオの「リオ・カリベ 72」「ラス・トリンチュラス 72」 
2.イタリア『アメデイの「ピスタチオ」
◯3.フランス『アンリ・ルルーの「キューバ」
◯4.ベルギー『ブノワ・ニアンの「チュアオ 74%」
5.フランス『フランク・ケストナーの「ショコラ・アソート」
◯6.日本『パティスリー・エス・コヤマの「チョコロジー2014」
★7.イタリア『グイド・ゴビーノの「グラントリノット16」
8.ベルギー『ヴァン・デンダーの「ロイヤルショコラケーキ」
番外編.イタリア『アンティーカ・ドルチェリア・ボナイユートの「古代チョコレート(白胡椒)」

当日は、18時から鑑賞会を開始しました。会場として、浅草橋のシェアハウス「浅草橋ブレッドボード」をお借りしています。
この記事は、会で実際に頂いたものを、レビュー形式でまとめたものになります。
評価はお勧め度の特に高いものを「★」で、次点を「◯」で印をつけています。ここでの評価は、永木三月個人の責任でつけております。また、ものによっては、複数種類ある内の1、2つのみでの批評になっています。以上の点はご了承ください。





 【レビュー】 


 1.イギリス『ウィリーズカカオ』の「リオ・カリベ 72」「ラス・トリンチュラス 72」



1品目はイギリスの『ウィリーズカカオ』。最近日本でも流行している「Bean To Bar」(豆を仕入れるところから、製品にするまでを一貫して管理する製造体制のこと)のブランドの1つです。今回頂いたのは、「リオ・カリベ 72」「ラス・トリンチュラス 72」の二つ。それぞれベネズエラ産のカカオから作られたタブレットチョコです。 味わいはと言えば、きな粉を思わせるような、豆の青々しいまでの香りがあり、カカオ豆の主張は非常に強く感じられます。食感はやや粉っぽく、カカオ豆を挽いて固めたのだろうと思わせるような粗野さが感じられ、タブレットという製品としての質はもう1つという印象でした。



2.イタリア『アメデイ』の「ピスタチオ」







2品目はイタリアの『アメデイ』。こちらもまた、カカオ豆にこだわったチョコレート作りが持ち味のブランドです。ショップのサイトには、カカオ豆を育てる土にまでこだわっていると謳われています。 今回いただいたのは、ミルクチョコレート主体の「ピスタチオ」。ピスタチオとバニラが入っており、甘さ控えめな口当たりから、ナッツやバニラの風味へと抜けて行きます。際立った繊細さは感じないものの、お菓子としてきちんと作られている印象の一品です。 カカオ豆の味を中心にしたものも味わってみたいですね。



◯3.フランス『アンリ・ルルー』の「キューバ」





3品目はフランスの『アンリ・ルルー』。塩バターキャラメルで一躍有名になったブランドで、日本にもミッドタウンにのみ店舗があります。ショコラのブランドとしてフランス本国でも非常に有名らしいです。「サロンドショコラ」では毎年クイニーアマンというキャラメルを使った焼き菓子を販売していますが、そちらで名前を知っている人も多いのではないかと思います。
今回頂いたのは「キューバ」というタブレットチョコレートの新作。目を引くのは、そのパキッとした食感の持つ繊細さと、味全体のしとやかなまとまりです。逆に、豆の個性の際立ちはあまり感じられず、丁寧にまとまっているという印象が先行する味でもあります。 これと別にキャラメルも頂いたのですが、そちらは味わいに複雑さと艶が感じられてなかなか良かった。おそらくタブレットよりも、細工の多いボンボンショコラなど、製菓に近い方面で本領を発揮するタイプの良さであったように思いました。


◯4.ベルギー『ブノワ・ニアン』の「チュアオ 74%」



4品目はベルギーの『ブノワ・ニアン』。元製鉄メーカーのエンジニアという異色の経歴を持つショコラティエで、カカオ豆の味を活かしたチョコレート作りにいち早く取り組んでいる一人だそうです。
今回頂いた「チュアオ 74%」はクーベルチュール(製菓の仕上げ用のチョコレートのこと)ということもあって、アンリルルーのような細工の上質さはないものの、カカオ豆の個性が存分に引き出された一品。シナモンなどの香辛料を思わせる香りは、華やかで深みがあり、口当たりの印象含め風味がくっきりと感じ取れます。豆の個性に迫っているという意味では、今回のラインナップでもトップクラスの一品であったと思います。


5.フランス『フランク・ケストナー』の「ショコラ・アソート」




5品目は、フランスの『フランク・ケストナー』。非常に若い方がショコラティエをつとめているブランドですが、同じくフランスの『ファブリス・ジロット』のお墨付きと、評価が高いブランドのようです。 今回頂いたドーム上のチョコレートは、外側のチョコレートは薄く、中にクリームが入っているという作りの一品。4種類味があるうちの1つを頂きましたが、クリームの印象が前に出過ぎていて、カカオの味わいは後味にやや苦みを感じる程度。食感や香り高さなど、もう少し深い味わいを詰めておいて欲しかったというのが、正直な印象です。


◯6.日本『パティスリー・エス・コヤマ』の「チョコロジー2014」




6品目は、日本の『エスコヤマ』。兵庫に店を構えているそうで、海外で高い評価を得て今や日本国内のレベルでも非常な人気を誇るブランドです。和のテイストを用いたチョコレートが特徴的なお店でもあります。
今回頂いた「チョコロジー2014」は、絵画になぞらえてボンボンショコラを食べるという、変わった趣向のアソート。僕の頂いたのは、抹茶とパッションフルーツを合わせた一品でしたが、非常に上品にまとめあげられています。甘酸っぱいパッションフルーツと、抹茶の渋みを含んだ風味とが、その趣向通り抽象画のような独特のタッチを持って口の中に現れるような印象でした。味の幅の出し方に個性を感じるショコラです。



★7.イタリア『グイド・ゴビーノ』の「グラントリノット16」



7品目は、イタリアの『グイド・ゴビーノ』。イタリアのトリノに店を構え、その地方に伝わる伝統菓子を扱いながら、新しい味わいを作っているお店だそうです。 「グラントリノット16」には、5種類のショコラが入っていますが、共通して言えるのは、その味わいのパワフルさ、風味の豊かさです。とりわけ、ミルクを使っていないというジャンドゥーヤ「トリノット・マキシモ」と、オリーブオイルと海塩を使った「クレミーノ・アルサーレ」がすばらしい。前者は、力強い油絵のタッチのように濃厚で香ばしいジャンドゥーヤが、後者は、前半に感じるナッツの香ばしさとオリーブオイルの風味、後半に感じる粒状になった塩のヴィヴィッドな風味とのミックスが味わい深いです。



8.ベルギー『ヴァン・デンダー』の「ロイヤルショコラケーキ」


(http://www.salon-du-chocolat.jp/archives/2015/brand/van-dender/2015-151-03)

8品目は、ベルギー『ヴァン・デンダー』。ベルギー王室御用達のお店で、そのパティシエは、パティシエの世界大会「クープ・デュ・モンド」でチームを優勝に導いたという実績を持っているそうです。 今回頂いた「ロイヤルショコラケーキ」は、それほどチョコレートとしての美味しさを感じさせるものではありませんでした。洋菓子としての細工が非常にこっているというわけでもなかったので、もう1つな印象を受けます。機会があれば、プラリネや、こだわりがあるというタブレットの方で試してみたいですね。



番外編.イタリア『ドルチェリア・ボナイユート』の「古代チョコレート(白胡椒)」



番外編として、イタリア『ドルチェリア・ボナイユート』。こちらはサロンドショコラで購入したものではないのですが、面白そうだったので、食べ比べのラインナップに入れてみました。 古代チョコレートというのは、古代のアステカで食べられていたチョコレートの製法で作られたチョコレートのことだそうですが、その固い食感と、じゃりじゃりとした砂糖の粒が残った食感は非常にユニーク。低温で加工することによって、砂糖の粒などを敢えて滑らかにしないまま作ることができるんだそうです。まずまず美味しいですが、製法自体が洗練されていないので、その味わいにもどこか素朴なところが感じられます。砂糖の粒が残っているためダイレクトな甘さがあることもその要因としてありそうに思えます。現代のおしゃれな嗜好品とは違った味わいを感じさせる、独特な一品でした。





 【あとがき】


これでルポは以上になります。レビューはいかがでしたでしょうか? 普段目にすることのできないものが多く集まり、非常に刺激的な会になったのではないかと思います。 今回のテーマは「サロンドショコラ」でしたが、バレンタイン間近のこの時期は、他の百貨店を始め、さまざまなところでチョコレートが豊富に集められたイベントが開催されるでしょう。 もともと「サロンドショコラ」はパリの祭典であるということで、日本のブランドを除けば多くがフランスのブランドなので、他の国のブランドについてはやや手薄になりがちな印象も受けましたので、他のイベントを回ってみるのも面白いのではないかと思っています。



 【次回の予定】


「おいしいもの味覚鑑賞会」は月に1回定期開催しています。 これを見て興味をもってくれた方、今回は都合が合わなかった方、普段から食べるのが好きな方、いつもはコンビニで済ませてしまう方、どんな方でも大歓迎です。おいしいものを食べて、一緒に語らってみませんか?

    普段こちらのサイトでは美味しいレシピ、お店の紹介を中心にお届けしています。そちらもよろしければ見ていってください。それではまた!

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