永木三月のテイスティングログ: 和の酢巡り! おいしいもの味覚鑑賞会第21回「和の酢巡り!」

2015年3月27日金曜日

和の酢巡り! おいしいもの味覚鑑賞会第21回「和の酢巡り!」


3/8(日)夜、シェアハウス「浅草橋ブレッドボード」にて、食べ比べをテーマにした会、おいしいもの味覚鑑賞会を開催しました。今回で21回目の開催になります。参加してくださった皆さま、どうもありがとうございました。会を主催している永木三月です。

今回のテーマは「酢」です。種類が豊富なお酢ですが、今回は米酢を中心に日本の美味しいお酢を揃えました。選りすぐりの8種のお酢のレビューを、会の模様と合わせてお届けします。



 〈目次〉 (★=格別美味、◯=次点。)


当日は、18時から鑑賞会を開始しました。

この記事は、会で実際に頂いたものを、レビュー形式でまとめたものになります。
評価はお勧め度の特に高いものを「★」で、次点を「◯」で印をつけています。ここでの評価は、永木三月個人の責任でつけております。以上の点をご了承ください。


レビュー


1.ミツカン「穀物酢」


まずは日本で最もメジャーな酢である、ミツカンの穀物酢。原材料は小麦、コーン、米と酒粕、アルコールです。他の酢の原材料が米だけなのとは対照的です。
味わいは、ツンとした匂いと刺激の強さが特徴的。直接的な味で奥行きがないので、味わう間もないような、非常にファストな印象を受けます。


◯2.山梨『戸塚醸造』心の酢


2品目は、山梨県『戸塚醸造』の「心の酢」。有機栽培のコシヒカリと富士山の伏流水を使って作った無濾過の酢で、一年以上かけて作られるそうです。
今回買いそろえたお酢のいくつかは、銀座一丁目のセレクトショップ『AKOMEYAで手に入れたのですが、そこの店員さんの一推しだったのがこちらの一品。
お 米の香りや旨味が味全体にしっかり感じられるのがこのお酢の魅力です。ミツカンの穀物酢のようにツンと来る香りはなく、代わりにお米の甘い香りが優しく感 じられます。芯はありますが、ソフトな匂いです。味わいはキレにやや欠けるものの、ボディがしっかりしていて、丸みを帯びた味わい。透明感と厚みも感じら れて味わい深い酢です。お米と合わせていただきたい、美味しいお酢です。
戸塚醸造のサイトによれば、こちらの酢は、純米酢と名乗るのに必要な量の四倍ものお米を使っているそうで、それによってお米の濃厚な味わいを可能にしているそうです。

3.福井『河原酢造』老梅 有機純米酢


3品目は、福井県『河原酢造』の有機純米酢。200年近い歴史を持ち、今回取り上げた酢造の中でも老舗の一つです。なお今回の純米酢は、日進のワールドデリカテッセンで入手しています。
香りにはアルコールの甘い匂いがとけ込んでいて、ハリがあります。味わい自体は口当たりから余韻までフラットですが、お酢らしい爽やかさがキレよく感じられ、雑味のない良品です。

4.岐阜『内堀醸造』特選本造り米酢



4品目は、内堀醸造の「特選本造り米酢」。内堀醸造ときいてピンと来る人はあまり多くないと思いますが、都内を中心に展開している「飲む酢」の製品をプロデュースしているのがこちらです。ナチュラルローソンにも置いていたりと、比較的量販店での取り扱いも多いお酢です。
味 わいはすっきりしていますが、後味の甘みが絵の具で色をつけたようで、妙な取っ付きやすさがあります。「飲む酢」の店舗で試飲をした際にも感じたことです が、お酢のお酢らしい癖が研磨されてつるんとした味わいになっているのは、他の醸造よりも大きな規模で製品展開できていることとも関係しているでしょう。


◯5.    京都(西陣)『孝太郎の酢』米酢




5品目は、京都の西陣『孝太郎の酢』。京都で創業170年余という老舗。 味の入りは比較的スタンダードなお酢で際立った特徴は感じないのですが、舌の上に乗せてからの味わいにじんわりと上品な甘みがあります。味の中心となる酸味の脇に、しっかりとした支えがあり、ボディがしっかりしている印象。味の後半の満足感が深いです。


6.    和歌山『九重雑賀』雑賀 吟醸酢


6品目は、和歌山『九重雑賀』の雑賀吟醸酢。

日本酒も手がけるというこちらの吟醸酢は、嫌みのないすっきりとした甘みがあり、味の厚みでみせる一品。こちらの手がけるお酢の中では最高ランクということもあり、洗練された旨味が魅力です。


★7.    鹿児島『坂元醸造』坂元の樽熟成くろず




7品目は、鹿児島『坂元醸造』の樽熟成くろず。

黒酢自体は、江戸時代に中国から薩摩藩に伝来 したのが最初だと言われ、日本での歴史はそれほど長いわけではないようです。こちらの坂元醸造は「黒酢」という製品名を使った最初の醸造。製法としては、 壷の中に、蒸した米、麹、水を入れて、外においておくという、他の酢とはかなり変わった形で作られています。
またこちらの樽熟成くろずは、その黒酢をさらにホワイトオークの樽で5年間熟成させたものということで、この大きさで1500円越えと、他のお酢に比べてもかなり高額。
黒 酢ですが、色はやや黒ずんでいるという程度で、透明感が残っています。香りには黒豆のような甘さがあり、濃厚さはそこそこですがウイスキーのように重層 的。味はやや醤油のようなニュアンスの甘みがあり、まろやかで深みのあるものです。同じ黒酢という意味では、8品目の「真黒酢」と比べて、展開の軽やかさ が感じられる面白い一品。


◯8.    東京(新木場)『横井醸造』真黒酢




8品目は、東京『横井醸造』。
こちらの真黒酢は7品目の坂元醸造の黒酢と異なり、固体発酵法という、発酵の際に原料が多くの酸素を取り込める製法を採用しています。中国で行われている製法を参考にしたそうで、世界的にも非常に稀な作り方だそうです。
味わいはどっしりとしていて、味の後半にカカオのような苦みを含んだコクが響きます。ひたすらに芯の太い味わいが特徴的な一品です。



最後に:お酢のテイスティングメモ

・テイスティングの方法と特徴

レビューは以上です。いかがでしたでしょうか?
今 回のお酢のテイスティングは、紙コップに少量そそぎ、直接味わうという形を取りました。あまり大量に飲むと胃腸が荒れるので勧めませんが、少量であれば、 良質のお酢は。直接飲んでも十分に味わい深いものです。テイスティングをしてみたい、じっくり酢を選んでみたいという方は、ぜひ直接味わってみてくださ い。
テイスティングの感覚としては、元の原料がお酒なこともあって、日本酒やワインをテイスティングするのと近い感覚です。実際に味わってみても、香りにアルコール感を感じる物や、原料の甘みを感じるもの、キレが良いもの、ボディのしっかりしたものなど、似たような軸で表現しやすい印象を受けました。
実際に購入する際には、酢の物、酢飯、餃子のタレなど、具体的な使用場面を考えながら選ぶのが良いと思います。
今回頂いた中では、
酢飯→「こころの酢」
和食の酢の物→「孝太郎の酢」
が特にお勧めです。また、黒酢は牛乳やジュースなどで割って、ドリンクとして飲んでも美味しいです。


・おいしいお酢はどこで買えるの?

今回選んだお酢の多くは、銀座一丁目『AKOMEYA、麻布十番日進のワールドデリカテッセンで手に入れました。
以前醤油の味比べを行ったことがあるのですが、そのときに比べれば、種類はあまり多くない印象を受けました。料理屋さんなどに直接卸されているものも多いのかもしれません。
スーパーなどでは手に入りにくいものは多いので、百貨店で買うか、お取り寄せをお勧めします。もちろん普通のものに比べれば高いですが、一度に使う量は少ないものなので、この機会にぜひ美味しいものを買ってみてください。



次回の予定

「おいしいもの味覚鑑賞会」は月に1回定期開催しています。 これを見て興味をもってくれた方、今回は都合が合わなかった方、普段から食べるのが好きな方、いつもはコンビニで済ませてしまう方、どんな方でも大歓迎です。おいしいものを食べて、一緒に語らってみませんか?
普段こちらのサイトでは美味しいレシピ、お店の紹介や食べ比べの実践記録など、「テイスティング」をテーマに記事をお届けしています。そちらもよろしければ見ていってください。それではまた!

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